01'剱岳 池ノ谷

 

 6月2日、今年夏に行く予定にしている池ノ谷の偵察のため、小窓尾根の小窓乗越までの予定で偵察登山に行ってきましたが、予定が狂い、池ノ谷ゴルジュを通って池ノ谷の二俣まで行ってしまいました。
 池ノ谷周辺一帯は、富山県の条例で危険区の中でも特に危険な特別危険区に指定されていて、冬から春の間は事実上立入禁止のエリアとなっています。一般ルートではありません。
 富山県民でも「こんなすごい場所が富山にあるのか」と驚くであろう場所に行けたことは嬉しいのですが、怖かったです。この日の夜、足元が崩れて谷に落ちる夢を見てしまいました。
登山口  朝方6時過ぎに馬場島到着。さらに馬場島から車でデコボコの道(この道は一般車通行禁止のようです)を10分程進み、取水口の駐車場に到着。車はここまでで早速登山を開始です。
 白萩川沿いのルートはこの時期水量が多くて上流のゴルジュ(タカノスワリ)を越えられないと山菜取りのおっさんが教えてくれたので、赤谷支尾根を乗越してゴルジュを高巻くことにしました。
 写真は半分雪に埋まっていますが、駐車場に立つ「大窓・池ノ谷」の立派な標識です。高巻きの登山口は写真のコンクリート壁の後ろ奥から始まっています。(写真右奥に写っているのが取水口)
へつり  高巻きルートは急な登りですが道は思っていたより明瞭で、特に急な所にはロープまで張ってあります。
 登り始めて40分。赤谷支尾根の乗越に到着。そこで初めて池ノ谷が真正面から見えます。
 あとは池ノ谷を正面に見ながら一気に下って、池ノ谷出会20m程下流の少し開けた川瀬に着きます。さらに池ノ谷出会を右手に見ながら白萩川を15m程へつります。ここはロープが張ってあるのですが水量が多くて大変。結局そこも高巻いたのですが、傾斜がきつくて怖い思いをしました。
雷岩  白萩川をしばらく進むとすぐに小窓尾根取付きの目印である大岩を発見。この大岩は全体に赤っぽく、車2・3台分程のでかい岩なのですぐ分かりました。
 そしてその向こうには大窓が見えます。
 もう小窓尾根取付は対岸でしたが、雪渓の状態が危険なので取付くのを断念。そして帰り道、白萩川のへつりを避ける為雪渓の上を通って対岸に渡り、池ノ谷入口である池ノ谷ゴルジュを入口から観察して帰ることにしました。
池ノ谷ゴルジュ入口  池ノ谷ゴルジュは約2Kmにわたり多くの滝を連続させ、両側が切り立った岩壁で守られた地帯で、とても近寄りがたい不気味な雰囲気を漂わしていました。見たところ雪渓に覆われてはいましたがとても行く気にはなれず、しばらく「ここがあの池ノ谷ゴルジュか」と観察していたところ、雪渓を歩いて5・6人が下りてきました。聞くと「ゴルジュはすべて雪渓に覆われているので歩いて二俣まで行った来た。行ける行ける。」とのことだったので、自分も「行ける所まで」ということで池ノ谷へ向け出発しました。
池ノ谷ゴルジュ  ゴルジュ内は両側から切り立った岩壁で息苦しく、岩壁と雪渓の間はシュルンドが深く口をあけていて、その奥底からはところどころで滝の激しく流れ落ちる音が聞こえていました。滝の振動が雪渓を介して足に伝わってきているようで、とても生きた心地はしません。
 ゴルジュは国土地理院25,000分の1の地図よりも複雑に入組んでいたような気がします。
 迷う個所はほとんどありませんが、一ヶ所だけ、ゴルジュ後半に2つの谷筋から流れ込む雪渓があり、池ノ谷と合わせて三俣になっている個所が自分の行った時はありました。向って一番左が池ノ谷です。
池ノ谷  約1時間かかり池ノ谷ゴルジュを抜けると二俣までの池ノ谷が目の前一直線に現れます。
 池ノ谷はすべて雪渓に覆われていて、思っていたより広い感じです。写真は池ノ谷ゴルジュを抜けた直後に二俣方向に撮ったもので、左側が小窓尾根、右側が早月尾根です。
 過去多くの登山者の命が失われであろう谷は不気味なほどの静けさでした。
二俣から小窓王方向  ゴルジュを抜け、さらに1時間程度かけて最終的に二俣まで行ってみました。
 写真は二俣から三ノ窓方向に撮ったもので、山の上の方はガスがかかり、今にも魔物が出てきそうな日本ばなれした風景です。

 白萩川を遡り、ゴルジュも雪渓を使って問題無く通過できれば馬場島から二俣まで3時間程度。二俣から三ノ窓までは雪渓続きとして2時間とすると約5時間で馬場島→三ノ窓へ行ける事になります。日帰りも夢ではない?(好条件が整えばですが。)

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